スチームトラップの保守管理
スチームトラップ専用の診断ツール
スチームトラップの診断に必要なツールは前述した通りですが、診断からその記録及び集計分析までを自動的、或いは半自動的に行う便利な専用ツールがあります。この項では、㈱ミヤワキ製の診断管理ツールを紹介します。
下図は、スチームトラップ診断管理システム(Dr.Trap PM301 型)です。システムの構成は、次の通りです。
プローブ(PM321)
トラップ表面に当接して、蒸気漏れが発生するときに生じる振動と、表面温度を検出する。
プロセッサ(PM310)
プローブが検出した振動と温度を基に、各トラップの診断を行い、それらの診断結果をトラップ毎に記録する。
専用ソフトウエア(PM330)
汎用パーソナルコンピュータに搭載され、プロセッサが記録した診断結果を分析集計し、管理に必要な資料を出力する。

図 6.3 Dr.Trap PM301 型
このように PM301 は、個々のトラップの診断から、診断結果の記録、及び蒸気漏れ量や蒸気損失の算出を含め、集計分析処理まで全て自動で行うツールです。 管理台帳は、専用ソフトウエア(PM330)で作成しますが、必須登録事項はすでに固定項目として用意されています。それに加えてユーザが自由に選んで使用できる選択項目もあります。
次図は、PM301 で作成した管理台帳の一例です。

図 6.4 管理台帳
下図は、スチームトラップ診断支援ツール(Dr.Trap Jr. PM15 型)です。
表面温度計付振動計とソフトウエアで構成されています。PM301 が全自動型であるのに対して、次の仕事は作業者の手で行うことになります。
スチームトラップの診断
診断結果の管理台帳への記入
従って、現場では従来通りの手作業となりますが、PM301 より安価であり、比較的小規模な工場に適したツールと言えます。尚、管理台帳の作成は、PM301 と同様、ソフトウエアで作成しますが、形式、内容共に PM301 の管理台帳とほぼ同じです。

図 6.5 Dr.Trap Jr. PM15
図 6.6 は、PM301 又は PM15 で出力される、基本的な集計分析結果です。

図 6.6 集計分析出力
このような専用ツールは、作業効率の向上や労力削減効果をもたらす反面、機械である以上はある程度使いこなさなければならず、また性能的な限界についても知っておく必要があります。使用前に、メーカが提供する講習等を通じて指導を受け、使用に関する正しい知識を習得しておくことが大切です。